明治の初め、椅子式の茶のしつらえ「立礼」が考案されて凡そ百年がたちます。その間の我々の生活様式、住空間の変化には目覚しいものがあります。当初正座が難しいと考えられた海外の賓客のため創られたそれは、むしろ今の日本人にとってもなくてはならないものになりつつあります。

現代に生きる茶人として、日々の暮らしの中に必然性を持っておさまる立礼卓とはどのようなものであるべきなのかを、久しく考え続けてきました。今回我が国有数の木匠集団、桜製作所との出合いを機縁に、こうして自分なりの解答を形にすることができたのは、大きな喜びです。 設計に際しては、「卓」でありながら座敷と同様の空気を作り出せるよう、床面からの高さを工夫しています。また客用の机とのさまざまな組み合わせによって、空間の広さ、参集する人数に対応することができ、主客の一体感を損なうことがありません。

従来の立礼のあり方を大きく越え、生活の中に息づく新しい茶のかたちの提案としてこのしつらえを「茶机」（ちゃき）と名づけ、流派を超え広く茶の湯を愛する方々に自由に楽しんでいただきたいとの願いを込め、その銘を「天遊卓」（てんゆうじょく）と致しました。この卓が、今の生活に茶の湯が再び根付くきっかけとなることを願ってやみません。

千宗屋

• 試行錯誤の結果設定された、座敷でのお点前とかわらぬ自然な「高さ」。
• 同じ高さの客用机を組み合わせる事で、広さや人数に多様な対応が可能。
• 今までの立礼卓にない、小間のような主客一体感を生み出します。
• おはこびの必要がなく、貴重な道具をより安全にお使いいただけます。
• ナチュラルでシンプルなデザインは伝世の道具のみならず、モダンデザインの道具にも調和し、舞台として道具を引き立てます。
• 「茶机」本体は、使いやすい小ぶりな寸法です。組み合わせ用の客用机はご希望の数をお求めいただけます。
• 茶懐石も含めた茶事に対応可能な茶机セットとしてデザインされています。
• 従来の立礼とは逆の右側に炉を設定、「向切り炉点前」を可能としました。
• 炉蓋を閉じて風炉でもお使いいただけ、季節に応じた使い分けが可能です。
• 炉は使い勝手や手入れを考慮し、ステンレス製としました。炉内には電熱器もご使用いただけるよう開閉可能な電気コード穴を設置済みです。又炉壁には組み立ての際に扱いやすいステンレス製のハンドルが組み込まれています。
• 最高級家具材で知られるアメリカンブラックウオールナット材の炉縁が付属しています。
• 風炉先はシンプルで美しいデザインの高級ステンレス製です。
• 点前脇机が付属しています。
• お点前の椅子は、樺の無垢材を使った彫刻のように美しいデザインです、年月とともに風合いを増す職人の手作りによる逸品です。又客用の椅子は、同じ樺材ですが収納を考慮しスタッキングが可能なデザインです。お点前の椅子と客用の椅子のスタッキングも可能です。
• 持ち運びや収納のための組み立て、解体が簡単にできます。

点前用茶机
素材：樺材/クリアウレタン塗装（点茶台）
ステンレス/ヘアライン仕上げ（炉）
ブラックウォールナット材/拭漆（炉縁）
ステンレス/ヘアライン仕上げ（風炉先）
建水用引き出し板つき・本体組み立て式
点前脇机
素材：樺材/クリアウレタン塗装
点前椅子
素材：樺材/クリアウレタン塗装
客用机
素材：樺材/クリアウレタン塗装
本体組み立て式
客用椅子
素材：樺材/クリアウレタン塗装
点前椅子とのスタッキングも可能

※仕様は予告無く変更される場合があります。